●「佐々木塾」【9】 2012/12/2

朝9時からの金王道場の大掃除に向かう。納涼会や納会には出席しなくなったが、大掃除は入会してから欠かすことなく今年も無事参加することができた。さて、渋谷駅から銀座線に乗って三越前駅下車。日本橋三越の第一園芸に4日前から予約していた花束をピックアップし、半蔵門線で京成立石駅に向かう。今日は、塾長が手術後の最初の授業をする日。喋り手として喉の手術は致命傷になりかねないし、症状によっては生死さえも危ぶまれる恐怖を、塾長は手術前から味わっていて、塾生にも十分に伝わっていた。大掃除帰りのラフな私の格好で失礼とは思いつつ、塾長に挨拶すると、やはり弱っている感じで傷口を見せてくれ、喉に皺がないのが自慢だったのに、手術後は皺くちゃになってしまったとのこと。それだけの大きい腫物が喉にあったためらしい。医師からはずっと手術を勧められていて、ワーカーホリックの塾長としては、とうとう決断した手術。そのようなタイミングで塾長と出会った塾生として感慨深い。今回と次回は塾長が通しの授業をする。華奢な身体なので体力も心配だ。今日の塾生は2名が休みで4名。授業開始前に、私が20期生からの快気祝いとして、淡いオレンジ色のバラの花束を手渡した。塾長の第一声も弱々しい小鳥のように始まる。手渡された原稿は、ニュース、ナレーション、短い台詞の掛け合い、交通情報は次回の宿題。塾長としては、瀕死の手術を受けている間に、塾生がどれだけ努力していたか厳しく試験したいくらいかもしれない。私は、失礼にも喋りの勉強への努力をしているとはいえない。塾長の責任感や厳しさには足元にも及ばない。武道に対しては、少しの迷いもない程なのに、喋りの勉強に対しては、まだまだ必死になれていない。病み上がりの塾長は、2時間30分の長丁場を終えた。私は今日来られなかった塾生に見せるため、花束を持って喉を指さす笑顔の塾長の写真を撮らせてもらった。

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