●二段の昇段審査(道場編/居串会)(2)

審査を終えて、居串先生は父兄サービスを考えてきたらしい。小学6年生で初段を受けたY君に板一枚を「突き」で割れとのこと。先輩方々が板を持ち、右、左と2回。きれいに割れ、父兄も拍手。そして先生が「次は、日下部!」。「エッ、聞いてないです!」と私。二段を受けているくせに、父兄の前で言い訳は見苦しいと思い、いかにも空手の古いイメージである板割りに初挑戦。板を持つ先輩が「日下部さんならできる!」と、やや無理やりな励まし。先生から前蹴りと回し蹴りで割れとの指示。まず、前蹴り。的に向かって2,3回足を動かす。一瞬で全身に電気が走ったような集中力を感じ、「サァッー!」。きれいに割れ、後ろを振り返り今度は回し蹴り。同じく、真っ二つ。この瞬間、ブルース・リーの打撃シーンの余韻を味わった気がした(笑)。私の気合の声は、リーのように「アチョッー」ではなく、いつの間にか、居串先生と同じ「サァッー」になっている。形は、「エィッ!」と言うこともある。この気合の声が大事なのだ。これが決まってくれば、"自分の空手"という自覚も出てくるような気がする。それにしても、瓦、板、ブロック割り等は、荒っぽい空手のイメージで、私は好きではなかった部分だが(何を今更)、先生は、「人に見せるからには失敗は許されない。割り切ることで、本人の自信になる」と繰り返して言われた。実際割ってみると、そこはかとなく自信が湧いてきて、もう少し数や量を増やしてもやれるような気がジワジワとしてくる。このような稽古というか見せ場というのは、男がやればそれほど驚くことではないが、女子供がやってみせることにもっと意義がある。武道も他のスポーツも、老若男女問わず、トレーニングや稽古の成果を見せるということで伸びていくし、継続していける要素なのだと改めて思った。

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