●沖縄の空手を本土に探して(3)

2017年6月20日(火)、仕事の帰りに丸ノ内線の中野坂上駅で降り、再開発が進んですっかり変わった街並みを、地図を見ながら歩いて「沖縄空手道剛柔流尚礼会成願道場」に辿り着いた。駅から歩いて5分。現在の剛柔流はいくつかの会派に分かれており、東恩納寛量の弟子でもあった比嘉世幸の系統、宮城長順の高弟であった八木明徳の系統、同じく高弟の宮里栄一の系統、宮城長順と比嘉世幸の両師に師事した渡口政吉の系統、それとは別に本土で独自に普及した系統があると言われ、尚礼会は、故渡口政吉が本土に渡って作られた道場で本部道場である。この日は昇級審査とのこと。午後6時30分頃から子供の稽古を見学し、7時30分から9時までは、通常の一般部の稽古に代わって昇級審査が行われた。道場の説明をしてくださったのは道場長の伊藤孝三郎師範(7段)。80歳を超えて現役で指導されている。剛柔流開祖の宮城長順先生が戦争で中断せざるを得なかった普及型完成の構想を、撃破、鶴破、白鶴の型として具現化し、尚礼館空手道の練習体系として完成させた故渡口先生の著書も見せていただいた。ホームページに掲載されている指導員の方々も勢ぞろい。故渡口先生から直接教わった弟子の皆さんは、70代以上となり、現在も稽古を続けていらっしゃる。予備運動を短時間で済ませてしまう道場が多い中、1時間半の練習時間の内30分を予備運動に割く尚礼館独自の稽古法は型の習得と不可分のもので、怪我を防ぐ準備運動としての意味に加え、運動を通して型に活かすための身体の動きを学ぶためとのこと。私は級審査の内容のレベルの高さと初段までの教本の稽古内容の濃さに驚いた。全空連の本土の競技空手とはかなりの差がある。この道場で、改めて白帯から学んでいく価値があるような気がした。

  • ↑page top
  • Since 2005.4.27 KUSAKABE TAMAE. All rights reserved.