●空手道を始めた理由(1)

1973年12月日本公開の映画(アメリカ・香港合同作品)『燃えよドラゴン』のブルース・リーは、衝撃的だった。その引き締まったストイックな顔と肉体。筋骨隆々の体格を敬遠していた私も、そのスマートなプロポーションとカッコイイ戦いぶりと、なにより、その顔の精悍さが素敵で一目惚れしたのが始まり。当時ブルース・リーの出現というのは、全国的な流行現象だった。地方の中学生だった私の周りでも、男子のほとんどがヌンチャク遊びをし、奇声を発していたし、女子にとっても憧れの男性スターだった。私といえば、男子のように格闘系に走るわけではなかったが(女子でも走る人はいただろう)、安価なカンフーシューズを買った覚えがある。私にとってブルース・リーは、ハンサムで腕っ節の強い理想的な男性の一人で、その中国武術への強烈な印象が残った。が、1979年映画『酔拳』日本公開の際、来日したジャッキー・チェンとカンフーブームには、興味が湧かなかった。ジャッキーの顔が好みではなく、その武術もブルース・リーのスタイルとは違うものだったから。その間の私は、学校ではバスケットボール部に所属し、夜は剣道場に通っていた。そして、1999年公開の映画『マトリックス』との出合い。映画『スピード』で一目惚れしたキアヌ・リーヴスが主演。彼はその中で、“柔術、カンフー”を演じた。キアヌが格闘しているシーンを観て“美しい”と思い、私は見ているだけでなく“自分がやってみたい”と思った。防具を使わず素手だけで戦う方法を身に着けたい!その時すでに40歳。それから“カンフー”をキーワードに、私は道場探しを始めた。訪ねた道場は、全日本中国拳法連盟/日本兵法大和道本部(北区滝野川)、八極功武会(荒川区荒川)、開門拳社(中野区南台)。電話での問い合わせは、IUMA・日本振藩國術館(豊島区西池袋)、国際空手道連盟極真会館(豊島区西池袋)。ほとんどが、週1回/月謝10,000円という内容だった。

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