●居合道を始めた理由(2)

剣術の流派に所属するために入門するのではではなく、“剣の理合”を身につけるべく、現代武道である居合道を学ぶことに変更した私は、合気道との縁もあり、大日本武徳会から史上初めて剣・居・杖の三道で範士号を授与された人物・中山博道が名乗った夢想神伝流の道場を探した。現在、居合道の二代流派であり、関東地方から北はこの流派が多い。有名な文京区の研修館を2回見学したが、若々しさを感じられず入門を躊躇っていたところ、YouTubeで居合の演武画像を探していた中で、能のシテのような演武に一目惚れしてしまった。その方が無双直伝英信流の山﨑正博・範士八段だった。山﨑先生がご指導されているのは、静岡県伊東市にある「無限館」本部道場。初心者が通うには遠い。そこで、無双直伝英信流の道場を東京で探すことにした。夢想神伝流は無双神伝英信流と無双直伝英信流を学んだ中山博道が独自の工夫を加えて伝えた流派でもあるので、英信流の方がより古流ではある。都内の道場の中でも通いやすく組織がしっかりしている道場として、新宿区の篤志会を見つけて見学に行ったのが合気道の初段を允可された翌月の2012年9月。篤志会の会長である畠中篤美先生は、教士八段で女性。剣道では女性の八段はまだ許されていないが、居合道では4人目の八段とのこと。私は2時間の稽古を見学して直接お話もさせてもらい入門案内をいただいて帰宅。しかし、合気道初段で一年後に二段を目指すためには、剣道の稽古もあるので入門のタイミングを待つことにした。2013年10月に合気道二段を允可された頃、右膝と右肘の痛みが加速。しかし、居合をやりたい気持ちは募っていった。とうとう2015年5月に、再度、篤志会に見学に行く。三年前に見学していたこと、膝と肘の痛みは抱えているものの、居合道を学びたいことを話し、居合刀や道着の準備をして、6月から篤志会に入門し、56歳で居合道の稽古を開始した。

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